太宰府の水瓶山

水瓶山にはため池がいくつもあり幼い頃から幽霊が出る、という噂が絶えなかった。私はその池で5歳の頃に溺れたが近くで畑を耕していたおじいさまが差し出した鍬に捕まって助かった。

私が13歳中1の頃、小16歳のひろしくんが溺れて亡くなってしまった。その一年後の塾の帰り道、池のほとりを深夜塾から帰宅中見てしまった。青白い光が集まりひろしくんの姿になった。自転車を放り捨てて帰宅した。あの池は何なのだろう。なぜ自分は生きてひろしくんだけ逝ったのか不条理を感じている。

私が生まれるまえには地滑りで一家4人が帰らぬ人となり近くに祠ができた。昭和から平成になりまた同じ場所に地滑りが起こり知人のおじいさまが犠牲となった。おじいさまの作ってくれた漬物やお味噌汁の味が忘れられない。誰もが忘れてしまっても私は忘れない。誰かに知って欲しい、覚えていてほしい、そんな心境である。